富裕層が独立し始めたアメリカ

富裕層が独立し始めたアメリカ

貧富の格差による社会の分断が進むアメリカ。

100万ドル以上の資産を持つ富裕層は税金が貧困層のためばかりに使われていると反発し、自ら住む地区を周囲と切り離し、新たな自治体を作る動きを強めています。

それにより富裕層を失った自治体は歳入が減少し、福祉サービスなどの予算を削減せざるを得ず、貧困層の生活がダメージを受け始めており、オバマ大統領も懸念する大きな社会問題となっています。

廃墟と化したデトロイト

1960-70年代、デトロイトは米国の自動車製造の一大中心地であり、現在の日本の愛知県の豊田市のように自動車産業を中心に発展しておりました。

しかし、自動車工業の不振や人々の生活苦が犯罪の増加に結びつく治安の悪化などから人口が減少。現在は貧困率、凶悪犯罪発生率ともに全米1位となっています。

中心街はゴーストタウン化し、荒れ果てた状態になっており、ホームレスや泥酔した男性が昼間から街をさまよっています。

今やデトロイトで起きた殺人事件の70%は未解決。廃墟は、麻薬の売買や麻薬パーティーの場として使われており、ホラーなどの映画のロケはほとんどここで行っていると言われています。

デトロイトデトロイト

お金持ちの自治体、サンディ・スプリングス市

サンディ・スプリングス市は約9万4000人が暮らしており、住民の平均年収は1,000万円前後だと言われています。

職業も医師、弁護士、経営者などの富裕層です。サンディ・スプリングス市は2005年に、フルトン郡から住民投票を経て独立しました。

住民投票では賛成が94%と圧倒的な支持を得ており、やはり高額納税者の税金が貧困層に使われていることが原因でした。

ハイテク、ハイセキュリティ

2013年のサンディ・スプリングス市の税収は日本円で約90億円であり、これは州内トップクラスの財源をもつ自治体です。

また、財源が豊富なだけではなく、彼らはビジネスの手法を市の運営に取り入れ、税務課も、建設課や裁判所などほぼ全ての業務を民間に委託しました。

公共サービスとしたのは警察と消防程度です。

その結果、普通であれば600人程度必要な人員をたった9人で市の運営を賄うことに成功したのです。市の運営費は当初予想していた半額に抑えられ、より住民の望むセキュリティを強化することができました。

緊急センターでも10秒以内に電話を取る義務などが実施され、警察や消防は90秒で出動し、速い時には2分以内に到着します。

市民はこのような公共サービスを高く評価し、このモデルを成功例と見た全米の富裕層が移住してきているため人口が増加し、さらに税収が増加するという豊かさへの循環が起きています。

サンディスプリングス

富裕層が去った自治体サウス・フルトン

富裕層が去った自治体は当然歳入が減り、公共サービスの運営に支障が生じる可能性が高くなります。ジョージア州フルトン郡の税収は、サンディ・スプリングス市が独立したことで、年間で約40億円余りが減ってしまいました。

その結果、例えばゴミ収集車のゴミの回収頻度が激減してしまい、住宅地は常に腐臭が漂ってたり、図書館も開館時間が2時間以上短縮され、今まで勉強に利用していた子供達も時間になれば追い出されてしまい、満足に利用できないといった状況が続いております。

それだけでなく、公立病院の予算に至っては約26億円も削減されたことで医師の数も削減され、今後貧困層の診断や治療が困難になる事態が予想されています。

例えばサンディ・スプリングス市の近隣には、既に刑務所さえ維持できなくなりつつ有る地域が出てきています。

近い将来、囚人達は街に解き放たれるでしょう。しかし既に警察官は失業していますから、非常に危険な街が生まれ出されつつあるというまるで、SF映画の様な状況が生まれることが予想されています。

国家とは何かを考え直さなければならない時代に

富める者はますます富む、それ以外の者は沈んでいくという、構図がより大きくなり、20:80から1:99へと国の構造変わりつつあります。

1%の人々にとっては、自分たちのお金が還元されずに99の人々に使われることを不公平だとして独立しようとしています。

何を理想とするかは国家や人々によって異なりますし、どちらにとっても幸せという施策は中々ありません。その時に、国家がどう舵取りをしていき、自分たちがどの立場を望み、どの場所にいるのかが大事になってきます。

今アメリカは岐路に立たされています。