ルミネのコピーライターに学ぶ仕事へのこだわり

ルミネのコピーライターに学ぶ仕事へのこだわり

「恋が終わるのなら、せめて夏がいい。」「悪い女ほど、清楚な服がよく似合う。」などルミネが数々広告ポスターで、蜷川実花氏の写真と女心を巧みに表すコピーを載せ、女性たちの心をつかんだ尾形真理子さん。

最近では恋愛小説「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」を刊行するなど、いま注目のクリエイターです。

尾形真理子(おがた・まりこ)

●1978年生まれ。東京都出身。2001年、博報堂入社。コピーライター/制作ディレクター

LUMINE、資生堂、東京海上日動あんしん生命、Tiffany&Co.、キリンビール、日産自動車などの広告を手がける。LUMINEの、女性の心に刺さるコピーに共感するファンも多い。朝日広告賞グランプリ他受賞多数。2010年には『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』(KKベストセラーズ)で小説家デビュー。

著者 : 尾形真理子

¥ 626 /幻冬舎文庫

今回はそんな彼女の仕事へのこだわりをご紹介します。

新聞社での翻訳関係のアルバイトがコピーライターの糧に

コピーライターの役割を自分なりに体得したのはつい最近だと話す尾形さんですが、大学では地方紙記者の叔父の影響で、ものを書く仕事を志し、日本大学法学部新聞学科へ進学し、その時のアルバイトがとても大きな経験になったそうです。

新聞広告を手がける際に気を付けているのは「新聞記事と同じスペースを広告として取るのだから、独りよがりの言葉を垂れ流すのは罪。少しでも共感できる、読んで良かったと思っていただけるようなアイデアを盛り込む」ということです。

ただし、ストイック過ぎても受け入れられないので、そのどこかチャーミングの要素を取り入れることを意識しているそうです。

想像以上の反響を呼んだルミネのコピー

ルミネのコピーを担当し始める前に先方からいただいたリクエストは、「駅ビルからファッションビルに生まれ変わりたい」というものでした。

その時に尾形さんは広告で「女性の気持ちを一番わかっているのはルミネだ」ということを伝えていくことが大事だと感じたそうです。

そうして試行錯誤を重ねて作成したルミネのコピーが、こんなにも反響があるとは思っていなかったそうです。

そこでわかったのは、例えば「なにを着ても可愛くない日も、たまにはあるけど。」のように、誰にも話したことのないぐらいの極めて個人的なことでも、多くの人が心にもっている共通体験であれば、強いコピーになるということです。

どういうコピーなら心に刺さるのかは、100%把握できているわけではありませんが、コピーを手掛ける時は、いつも、言葉にならないイメージが先にあるそうです。

日常の些細なことに敏感になる

コピーライターとして、「世の中の人は今どんな気分なんだろう?」と、いつも日常の些細なことを気にしているそうです。

例えば電車のなかで乗客のおしゃべりに聞き耳を立てるといったことで、そういったことのひとつひとつがコピーとして生きてくると尾形さんは言います。

特に世代が違う人に関しては特に気をつけているそうで、テレビを見ても本を読んでも、女子高生たちのことなんてさっぱりわかりません。そういった時に直接、話をする機会はなくても、いつもそばに感じていないといけないと、もし電車で、自分と同世代の女性2人と、女子高生2人がいたとしたら、女子高生2人の近くに座るとかはよくしているそうです。

成長を支える飽くなき向上心

長年コピーライターの仕事をやってきて尾形さんが思うことは、「私はそんなにコピーがうまくない」ってことのようです。これは謙遜してるつもりは全然なく、うまい人は本当にもっとうまいと思っているそうです。

最初、コピーライターを始めたときも人前で「コピーライターです」なんて言える自信はどこにもなく、上司に「ちょっといいですか?」と声をかけた瞬間、「やめるの?」と心配されたこともあるぐらいだったそうです。

今でも作ったコピーをみて「私の頭の中にあるイメージはもうちょっと素敵なのに!」という、描いた餅との落差に地団駄を踏むこともたくさんあり、今まで何百回、「もう、この仕事辞めようか」と思ったかわからない。動物園の入り口でチケットを切る係になりたい、プールの監視員になりたい、なんて。実際、やったことはないそうですが、現実逃避でそういったことを思うことも多々あるそうです。

ただそんな時にもうちょっとと踏ん張れる向上心こそが、尾形さんがここまで女性の共感を呼ぶ名コピーライターになった秘訣なのだと思います。

最後に尾形さんが手がけたコピーを少しご紹介

悪い女ほど、清楚な服が、よく似合う。

からまりながら、ほどけながら、暖め合いたい。

「おかえり」を言わせたくて「行ってきます」を言った

雨が嫌いだった頃、わたしはまだ、誰のことも、好きじゃなかった。

今日は別人みたいなんて失礼しちゃうわ 嬉しいわ

一生懸命外見を磨いたらとっておきの内面が見えてくる。

ちゃんと欲しがる女だけ欲しがられる女になれる

恋が終わるのなら、せめて夏がいい。

カラダごと着替えたくなる時がある。

何を着てもかわいくない日も、たまにはあるけど。

悪い女ほど、清楚な服が、よく似合う。