ブックオフを急成長させたストーリー

ブックオフを急成長させたストーリー

ブックオフは業界最大手の中古本販売チェーンです。この会社は店舗面積を広くとり、商品の修繕を施した本を立ち読みも可能にすることで、大きく伸ばしていった会社です。

「戦略とはストーリーである」とよく言われますが、今回はブックオフコーポレーションの戦略に込められたストーリーをご紹介します。

・アルバイトから取締役会長に

同社に橋本真由美さんという方がいらっしゃいますが、この方はなんとアルバイトから取締役会長にまで上り詰めた、たたき上げの経営者です。

彼女の担当していた店舗は、他の店舗と比べて売り上げが圧倒的に多かったそうです。それは何も外的要因が影響しているわけではなく、立地、規模、スタッフの質といった条件が変わっていないのに、橋本さんが店長になると格段に売上が増えることがよくありました。

 ・橋本会長が実行した「出し切り」というストーリー

ブックオフでは、お客から買い取った本を店の棚に出して売りますが、橋本さんの店では、買い取った本をその日のうちにすべて必ず棚に並べるようにしたのです。

ブックオフでは棚のスペースには限りがあるので、通常新しく買い取った本を棚に出すためには、既に棚に並んでいる本の中から、同じ数の本を抜き出して、棚を移したり、バックヤードに移さなくてはなりません。

ところが、橋本さんは、そんな手間を惜しまず、買い取った本は、すべてその日のうちに加工して棚に出す「出し切り」にこだわりました。それは一体なぜでしょうか?

ブックオフ

・「出し切り」が売り上げ増につながるストーリー

実はブックオフの来店客の大多数は、頻繁に訪れるヘビーユーザーで毎日のように同じ店にやってきます。そういうお客さんは、ゆっくり時間を使いながら、本を見て、好きな本があれば購入するという行動を取ります。

ここでのポイントは、お客さんの需要が事前には特定されていない点にあります。ここにアマゾンの中古販売とブックオフの「違い」があります。

アマゾンでは多くの場合、お客さんが事前に買いたい本を特定されており、その上で検索し、購入します。ところがブックオフのお客さんの中は、立ち読みをしたりして、気に入った本があれば、購入するという買い方をします。

そこに「出し切り」の妙味があります。買い取った本をすぐにその場で出し切ることにより、来店するたびに「お、こんな本があった。読んでみようかな」というように、お客さんの中に「想定外の需要」が生じる頻度が増えるわけです。

このストーリーは、まさに現場で練り上げられた橋本さんの商売センスの産物です。

優れた戦略には「Aをすれば、Bが起きる、そうなるとCが生まれる、それがDを触発して、Eになるからもうかる」という時間展開があり、物事が起きる順番に拘らないと、良いストーリーはできないのかもしれません。