「誰も知らない給料が、上がらないワケ」

「誰も知らない給料が、上がらないワケ」

作家であり、出版社経営者でもある木暮太一さんの僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」から意外と知られていない「給料の決まる仕組み」をご紹介します。

著者 : 木暮太一

¥ 929 /星海社新書

木暮太一さんは慶應義塾大学を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て、独立されました。

大学在学中に自主制作した「気軽にはじめる経済学シリーズ」が大学生協や一般書店で累計5万部を突破するなど、予備知識がなくても、読んですぐに理解できる本当にわかりやすい書籍を書かれることで有名です。

この本ではまずマルクスの「資本論」をもとに資本主義の仕組みと私たちの給料の仕組みを解説し、後半では私たちはどのような働き方をするべきかが書かれています

最近、リンダ・グラットンさんの「ワーク・シフト」やエリック・シュミットさんの「How Google Works」など働き方に関する本が数多く出版されていますね。

その本ではこんなことが書かれていました。

“ほとんどの人が働く目的の一つに「お金」を挙げられると思いますが、働いても働いても一考に給料は上がらないし、どんどん仕事の量が増えて、忙しくなってきているような感じもします。”

そもそも自分の給料がなぜ今の金額なのかと問われると答えるのは中々難しいと思います。

ここで問題なのは「努力をすれば給料は上がるのか」と言う点です。

確かに努力をして結果を出せば認められ出世をしたり、インセンティブが出たりと給料が上がることはあります。ただし、2倍の利益を生んだからといって給料が2倍になるということは基本はありません。

・「労働力」という商品

給料の決まり方には
1.必要経費方式
2.利益分け前方式

の2種類があります。

このうち、一部の外資系金融機関などを除けば、日本の会社のほとんどが「必要経費方式」を採用しています。

この「必要経費」とは、「働いてエネルギー0の状態から、翌日も働けるようにエネルギー100の状態にまで回復させるために必要な経費」のことです。労働力が商品であるということは、その「価値」は、「労働力を作るのに必要な原材料の積み重ね」になります。

これがマルクスの言う「労働力の再生産」です。具体的には食事を摂り、睡眠を取り、その他衣服や家や携帯電話など、いろいろなものが必要となります。

それらの積み上げが「労働力の価値」であり、「必要経費」であり、私たちの「お給料」なのです。

・医者と介護士の給料の差

どちらも「人が生きていくために必要な仕事」なのに医者の方が給料が高いのは、医者になるための知識や技術を身につけるのにたくさんの準備や時間が必要だからです。

「スキルの習得」も「価値」の合計には含まれるので、資格や技術を持っている方が給料は高くなるのです。「資格手当」もこの考え方で理解できます。

・おじさんの給料が高い理由

「労働力の価値」は「明日も同じ仕事をするために必要な経費」なので、家族がいる場合、その経費は多く必要です。

また、子どもが大きくなればなるほど教育費などで必要な生活費が増えていきます。なので、同じ仕事をしている若者よりもおじさんの給料は高いのです。

一般的なサラリーマンは必要経費方式で支払われるため、自分の努力とは無関係に給料が支払われ、働かないおじさんの方が、一般的に労働の再生産コストが高いために給料が高くなる傾向があるということです。

これは転職しても全く変わりません。

これらの問題に対して「資本論」で有名なカールマルクスは革命、「金持ち父さん貧乏父さん」で有名なロバートキヨサキは投資という結論を導き出しました。

結論こそ違いますが、資本主義経済の中で労働者は豊かになれない」という主張はまったく共通しています。

そういった資本主義経済の前提を理解した上で自分の働き方について考えていかないといつまで経っても「目指すべき幸せな働き方」には近づけないと思います。

今の働き方に疑問を持っているのであれば、転職や独立、ワークライフバランスを考えても意味はありませ ん。

しんどい働き方は、もっと根本的なところから考え、変えていかないといけないのですね。とても論理的でわかりやすい本だと思いました。